数週間後

回し始めてから

読了: 10〜15分。最初のループを数週間回してから読んでください

Day7で契約書を書き上げ、最初のループを回し始めたあとのページです。 すぐに読む必要はありません。しばらく動かしてから戻ってきてください。 巻末の用語対照表は、いつ開いても構いません。

数週間後の健康診断: 採用率

小さく始めたループが数週間回ったら、続けるか、広げるか、直すかを決める番です。 このとき見る数字を間違えないでください。何周回したか、何件処理したか、どれだけ作ったか。作業量はどれも、あまり当てになりません。 見るべきは採用率(acceptance rate)。AIの提案のうち、あなたが採用した割合です。

採用率 = あなたが採用した数 ÷ AIが提案した数

採用率が半分を下回っているなら、そのループはまだあなたの時間を節約していません。 提案の半分以上を差し戻すということは、結局あなたが重い点検をしているということだからです。 打ち手は5つ。どれもすでに学んだ場所にあります。

採用率を数えるのに道具は要りません。1周ごとに、採用したか差し戻したかをひとこと書き残すだけです。 番外編で紹介するループ日誌のメモ欄は、この置き場としてそのまま使えます。

次の一歩

このコースの模擬体験でAIが動かしていたような仕組みは、実際の道具で作れます。 たとえば、Day6のリプレイ2で見た作業ループを動かしていたのは、 ターミナルで動くAIエージェントと呼ばれる種類の道具です(Claude Code など。 チャットのAIと同じ会社が出している、ファイルやツールを扱えるAIです)。 具体的な導入手順はすぐ変わるので、ここには書きません。公式ドキュメントが最新です。 道具を触り始めたら、このコースで学んだ言葉、つまり完了条件・観測・停止条件・担当範囲が、そのまま設計図として通用します。

付録: 用語対照表

卒業後に英語の記事やドキュメントを読むときの橋です。この教材の言葉と、世間で使われる言葉の対応表です。

この教材の言葉原語一言でいうと
ループloop基本サイクルを停止条件まで繰り返す仕組み
ループエンジニアリングloop engineeringループ全体(観測・停止・相談を含む)を設計する実践
基本サイクルagent loop目的→行動→観測→修正→停止の5段階
観測observation / feedback行動の結果を確かめて得る情報。失敗も含む
完了条件done condition終わったと客観的に判定できる条件
停止条件stop conditionループを止める条件の総称
暴走runaway終わりの定義がないまま回り続ける状態
偽完了premature completion完了条件を満たさないまま「終わった」と宣言して止まる状態
非常ブレーキhard stop回数上限・無進捗検出・予算上限の3種
人間への相談escalation判断できない案件を人間に引き渡すこと
指示promptAIへの1回の依頼文
文脈contextAIが前提として見る情報環境
作業環境harness道具・ルール・チェックを整えた環境
鼓動automationsループを自動で動かす起動の仕組み
個室worktree複数のAIが衝突しないための隔離
手順書skill毎回説明しないための固定した知識・手順
接続plugin / connector外部の道具やデータへのつなぎ込み
検証役verifier / sub-agent作る役と別に点検する役
記憶memory / state会話の外に残す進捗・判断・記録
ノーチェックループopen loop検証なしで回るループ。デモ用
チェックつきループclosed loop1回ごとに検証が入るループ。実務の基本形
レビュー役つきループreview loop並走する検証役が指摘を返すループ
輪の中human in the loop人間が毎回チェックする働き方
輪の上human on the loop人間が仕組みを設計・監視する働き方
輪の外human out of the loop任せきりの状態
尋問interrogationAIに質問して自己説明させる点検法
規範モデルnormative model人間だけが持つ理想像・価値基準・過去の判断
理解負債comprehension debtAIの成果物と人間の理解の差。速いループほど速く積み上がる
ループ契約書loop contract6項目でループを定義する文書
半自動ループsemi-automated loop鼓動だけを人間が担い、残りの部品をAIが回すループ
全自動ループfully automated loop鼓動を含むすべての部品を機械が担うループ
採用率acceptance rateAIの提案のうち人間が採用した割合。ループの健康診断指標