Day 7

自分の最初のループを設計する

読了+実演+修了制作: 25〜35分

最終日です。今日の中心は、新しい概念ではなく、この6日間で学んだことを1枚の文書に束ねる作業です。 名前はループ契約書(loop contract)。 AIに仕事を任せるときの取り決めを、6つの項目で書き切ったものです。 これを書き上げたら、このコースは修了です。

今日のゴール

ループ契約書の6項目

6項目のうち5つは、すでに学んだものの言い換えです。新しいのは「報告」だけ。 よい報告の条件は、Day5でやったとおり「尋問に耐えられること」です。

項目問い学んだ日
起動条件 (TRIGGER)いつ・何をきっかけに始まる?Day3の鼓動
担当範囲 (SCOPE)何を触ってよく、何を触ってはいけない?Day2の作業環境
やること (ACTION)1回のループで何をする?Day1の行動
予算 (BUDGET)件数・時間・お金の上限は?Day4の非常ブレーキ
停止条件 (STOP)何がどうなったら止まる? 迷ったら誰に相談?Day1・Day4
報告 (REPORT)誰に・いつ・何を知らせる?Day5の輪の上

題材の選び方: 4つの条件

契約書を書く前に、仕事の選び方をひとつだけ。どんな仕事でもループに向くわけではありません。 次の4つがそろっているかを確かめてください。

条件確かめ方
1. 繰り返し発生する週1回以上が目安。一度きりの仕事に仕組み作りは割に合わない
2. 機械的に判定できる終わったかどうかを、規定や台帳と照合して決められる。「美しいか」のような主観の判断はループにしにくい
3. 準備の手間に見合う文脈をそろえ、契約書を書き、数週間観察する。その手間より節約のほうが大きいか
4. AIに道具が届いている必要な資料・データ・確かめる手段を、AIに渡せるか(Day2の作業環境)

全部そろっていなければ、そろっている仕事に替えるか、そろうまで担当範囲を狭めてください。 経費チェックAIが7日間の題材でいられたのは、毎月発生し、規定と照合でき、件数が手間に見合い、規定と台帳を渡せる。4つがそろっていたからです。

修了制作: 契約書を書く

下のフォームに、あなたの仕事を1つ選んで書き込んでください(Day1のミニ課題で選んだ仕事を、上の4条件に通してから使ってください)。 迷ったら「例を読み込む」で経費チェックAIの完成例を表示し、自分の仕事の言葉に書き換えていくのが早道です。 入力はこの端末のブラウザにだけ保存され、どこにも送信されません。

ループ契約書ビルダー

書いた契約書は、こう渡す

契約書ができたら、次の疑問は「これを、どうAIに伝えるのか」でしょう。 答えは拍子抜けするほど簡単です。コピペで渡せばいい。 下の実演は、いま書いたような契約書をチャットAIに貼り付けたとき、何が起きるかを再現したものです。

実演: 契約書を渡して1周する

※経費チェックAIを題材に、やりとりの流れを再現した実演です(Day6のリプレイと違い、特定のセッションの記録ではありません)。

チャットAIでも、ターミナルで動くAIエージェントでも、渡し方は同じ「貼って、始めてもらう」です。 エージェント(Claude Code など)の場合はもう一歩進めて、作業フォルダに 「CONTRACT.md」のような名前のファイルとして契約書を置いておけます。 毎回貼り付けなくても「契約書を読んでから始めてください」の一言で済む。 お気づきでしょうか。契約書をファイルとして置いておくこの形は、Day3の手順書そのものです。

「毎日12:00に自動で」の正体: 鼓動はどこに住むか

実際に始めようとすると、もうひとつ必ずぶつかる疑問があります。 「起動条件に『毎日12:00』と書いたけれど、私のパソコンを閉じていたら動かないのでは?」

そのとおり、動きません。ノートパソコンは閉じれば眠ります。 鼓動が自動で打ち続けるには、起き続けているコンピュータが必要です。 Day6のリプレイ1に種明かしをもうひとつ足すと、あの学習ループが毎日12:00に動けるのは、 閉じられることのない小さなコンピュータ(サーバ)の上に住んでいるからです。

鼓動の住まい特徴向いている時期
あなた自身(手動で始める)準備ゼロ。今日から始められる最初の数週間。まずはここから
起き続けているコンピュータ(常時稼働のPC・小さなサーバ)24時間動くが、用意と管理が要る毎日型ループの本格運用
クラウドのスケジュール実行(サービスを借りる)自分のPCと独立して動く道具に慣れてきたら

ただし、順番が大事です。鼓動の自動化は、いちばん最後。 まずは鼓動だけあなたが担う半自動ループで数週間回してください。 毎朝コーヒーを淹れたら、契約書つきで1周頼む。それだけで、あなたの仕事は十分変わります。 価値とブレーキの効きを確かめてから、起き続けているコンピュータへ引っ越して全自動ループにする。 Day4を思い出してください。自動で回るものは、自動で暴走もします。 手動で信頼できない仕事は、自動化しても信頼できません。自動化で上がるのは、失敗の速度だけです。 信頼は、ループがまだ手元にあるうちに作るものです。

小さく始める: 最初のループは「読むだけ」でいい

書き上げた契約書を、明日から全部自動で動かす必要はありません。むしろ最初のループは、思い切って小さくしてください。おすすめの形はこれです。

最初のループの推奨形

「毎朝、未処理の一覧を読んで、気になるものトップ3を理由つきで報告する」。この程度で十分です。 前の節の言葉と合わせるなら、半自動ループ×読むだけ。二重に安全な形から始めます。 変更ができないループは、Day4の言葉でいえば暴走しても事故になりません。 そして読むだけのループでも、鼓動・記憶・報告の練習には十分なります。 信頼は、小さいループを何週間か観察してから、担当範囲を1段ずつ広げて積み上げるものです。

7日間のまとめ

最後に、Day5の一文をもう一度置いておきます。 同じループを作っても、深く理解して速く進める人と、理解を避けるために使う人で、結果は正反対になります。 ループはその違いを知りません。設計者であるあなたは、知っています。 7日間、おつかれさまでした。

このあと、最初のループを数週間回したら 回し始めてから を読んでください。続けるか広げるか直すかを決める見方と、次に触る道具、用語対照表を置いてあります。